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声の広場

オペラは愉し ~ ジュリオ・チェーザレ

東京都 藤森益弘さん

Tdba50412rgb  サントリーホールでは、<モーツァルト&ダ・ポンテ三部作>というシリーズを昨年から始めていて、昨年は《フィガロの結婚》、今年は《ドン・ジョヴァンニ》をホール・オペラ形式(オーケストラと歌手が同じ舞台の上で演奏・演技する)で上演した(来年は《コジ・ファン・トゥッテ》の予定)。

両演目とも見たが、演奏・演出・演技・歌唱すべての面でなかなか充実した舞台になっていた。とりわけ昨年の《フィガロ》は秀逸で、スザンナ役のダニエル・ドゥ・ニースが魅力満点、お茶目でコケティッシュ、でもしっかり者のスザンナを見事に演じていた。彼女はいま、人気、実力ともに絶好調のソプラノではないだろうか。DENONから出ているヘンデルの歌劇《ジュリオ・チェーザレ》にもドゥ・ニースはクレオパトラ役で出ているが、一途に恋をする若い女の可笑しさ、奔放さ、憐れさ、哀しさをなんと魅力的に演じ、歌っていることか。グラインドボーン音楽祭のライヴ映像で、随所に見られるダンス・シーンなどの現代的な演出効果と相まって、笑いと涙を誘うドゥ・ニースに観客といっしょに酔いしれてしまう。

 今年はヘンデルの没後250年にあたり、ヘンデルの歌劇も見直されるだろうが、この《ジュリオ・チェーザレ》など、<オンブラ・マイ・フ>で有名な《セルセ》とともに話題に上がるオペラになるだろう。

 この2枚組のDVDには、特典としてドゥ・ニースがこの公演中、グラインドボーンで過ごした様子を追いかけたドキュメンタリー映像が収められている。宿泊しているコテージの紹介や、ランチのパスタ作りや、歌劇場の紹介や中庭での音楽祭理事長との対話や、歌の練習風景や、楽屋での化粧や衣装合わせなどのシーンが、彼女の明朗な語りを交えて映し出されていて、なかなか興味深い。

 オペラをDVDで手軽に見られるようになって、オペラ鑑賞の愉しさが倍加したことは間違いない。DENONが今回特別限定企画した<STANDARD  OPERA  20>は、名演奏・名舞台のDVDが揃っていて、20作品いずれもオペラの醍醐味を存分に堪能させてくれた。そのなかでも、クライバー指揮、ゼッフィレッリ演出、オブラスツォワ、ドミンゴ主演の《カルメン》と、カラヤン指揮・演出、ドミンゴ、カップッチッリ、コッソット主演の《イル・トロヴァトーレ》と、グシュルバウアー指揮、シェンク演出、ポップ、グルベローヴァ、ベリー主演の《こうもり》は、同曲DVDの中で最高のものだと言っても過言ではないだろう。しかもそれらが2,800円とは、ただただ感謝。

《ジュリオ・チェーザレ》

《ジュリオ・チェーザレ》(blu-ray仕様)

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