コロムビアミュージックエンタテインメント、パフォーミングアーツ制作グループの
オペラを中心としたクラシック情報ページ

声の広場

衝撃!「ムツェンスク郡のマクベス夫人」

Voice01_01 茨城県 畠山俊三さん

近代のオペラ作品の中には「ルル」や「ヴォツェック」「イェーヌファ」のように、人間の暗部を描いた救いようのない傑作が多い。そんな中でも「ムツェンスク郡のマクベス夫人」は飛び抜けた傑作だと思った。 それは変幻自在ともいえるショスタコーヴィチの作曲技法によるものだと感じた。 前半を視聴して、やや違和感があった。第一にあまりにもオーケストラが雄弁で”歌つきの交響曲ではないか”と感じた。しかもオケの音が上質すぎて、ロシア風でないし、悲劇風でもない。第二にカテリーナはマドンナ風でしかも寝室がガラス張りということで、ここにもロシア的なものがない。 しかし、幕が降りて、身動きできないような感動に襲われた。 やはり第四幕が白眉だ。

精神病院のような、ナチの収容所のような舞台はやや違和感があるが、冒頭、老囚のモノローグと囚人の合唱は救いようのないこのオペラを象徴している。カテリーナの「森の奥深くに」は行き場を失った人間の無限の絶望感が歌われる。オテロ、デイスデーモナの「柳の歌」に通じるものがある。幕切れ、カテリーナが絞殺された後の囚人の合唱がレクイエムのようにも聴こえた。幕が降りると、感動の感情はなぜか、浄化、永遠へと純化されていった。

一口でいえば、ロシア的なものがないのは不満だが、実に感動的な「ムツェンスク郡・・・」である。 片山杜秀はこのオペラの時代背景を深く掘り下げ、しかも分かりやすく解説しており、感心した。特典映像も大いに参考になった。

ところで、ムツェンスク郡というのはどこらへんかと、地図を広げてみた。
ロシア南西部、オリョール州にあり、人口47,800とある。モスクワより330キロくらいのところのようだ。

カテリーナが身を投じた川にも興味が沸いたが、手元にある資料に川の名前はない。
このオペラの日本初演を手元の資料で当たってみたら、1992年のケルンオペラの来日公演とある。「カテリーナ・イズマイロヴァ」は1973年、二期会が初演している。
1996年、ゲルギエフとマリンスキーが来日したときは原作と改定作の連続上演を行っている。

《ムツェンスク郡のマクベス夫人》

PAGE TOP